大腸の話
大腸ポリープ・大腸がん
食生活の欧米化に伴い、日本でも大腸の疾患、特に大腸がんが増加してきております。大腸がんの多くは、大腸ポリープが進行したものであり、早期発見・早期治療をすれば、がんの根治的な治療につながります。
なお当院では大腸がんの開腹手術は行っておりません。大腸がんが発見された場合には、すみやかに高次医療機関にご紹介いたしますので、ご安心ください。
大腸ポリープ
大腸がん
大腸ポリープの切除について
近年、ポリープの切除方法にもさまざまな工夫が行われ、安全・確実な切除ができるようになってきています。
EMR法(内視鏡的粘膜切除術)
付け根の部分の幅が広いポリープにもちいられます。
病変部と筋層の間に食塩水などを注射して水ぶくれを作り、病変を筋層から浮かせます。その後病変のある粘膜を、スネアという鉗子で、高周波電流で焼き切ります。
留置スネア法
茎のあるきのこ型のポリープにもちいます。
あらかじめ留置スネアというひもでポリープの茎をしばります。その後ポリープを高周波電流で切除します。
炎症性腸疾患
潰瘍性大腸炎、クローン病を炎症性腸疾患と呼びます。以前はとてもまれな病気でしたが、増加の一途をたどっています。大腸内視鏡検査でほとんどが診断でき、正しい診断が治療に結びつきます。下痢便が長く続いたり、粘液が出たりや便に血が混じったりする時には、検査することが必要です。
潰瘍性大腸炎
大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる原因不明の病気です。粘液が出たりや便に血が混じったり、下痢、腹痛が続いたりします。直腸から病気は始まり、しだいに大腸全体に広がります。
軽症
中等症
重症
重症
クローン病
主として若年者にみられ、炎症や潰瘍が口から肛門までの、いろいろなところに起こる原因不明の病気です。小腸の末端部が好発部位で、病変が連続していないことが特徴です。
それらの病変により腹痛や下痢、血便、体重減少などが起こります。
縦走潰瘍
敷石像と縦走潰瘍
敷石像と縦走潰瘍
狭窄
虚血性大腸炎
大腸にゆく血管のけいれんや腸管のぜん動亢進などのために、大腸粘膜の血流が減少して起こる病気です。以前は動脈硬化の進んだ老人の病気といわれておりましたが、若年者もまれではありません。
「冷や汗の出るほど強い腹痛が生じて下痢し、その後に血便が出た」という特徴的な症状から、容易に診断がつきます。だいたいは1週間程度で症状が回復しますが、急性期には点滴の治療が必要です。
軽症
中等症
重症
大腸憩室出血
大腸憩室とは大腸の壁にできた小さな凹みのことです。大腸憩室が存在するだけならば病気ではありませんが、まれに出血することがあります。とくに心疾患や脳血管疾患のために「血をさらさらにする薬」を内服している患者さんが増えたことにより、憩室出血の患者さんも増えたような印象があります。
大腸憩室からの出血は突然の大量出血です。しかも「血をさらさらにする薬」を内服していると血が固まらないので、出血が止まらないのです。全身状態が良く内視鏡検査が行うことができ、運よく出血している憩室を発見し止めることができればよいのですが、困難な場合には高次医療機関に紹介することもあります。
憩室出血
憩室出血
憩室出血
憩室出血
クリップで止血
大腸憩室炎